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【コラム:山本】「アメリカ25年ルール♪」(2021.11/6)
「先生!やっぱりこの時代の車カッコイイっすねぇ!」今時珍しい車好きのMくん。かつてスポーツカーブームだった時代に生きた私に(またまた歳がバレる(笑))、様々な昔の車の話題を投げかけてきます。
そんな話の中で注目したのが、「アメリカで右ハンドルの古い日本車が売れている。」というニュースが、最近ネットやTV番組などで見かけるようになってきたことです。所謂、日本でもだいぶ知られるようになった【アメリカ25年ルール】。アメリカでの自動車輸入に関する法律がベースとなり、ここ数年で一気に注目されるようになっています。
アメリカには、【アメリカ25年ルール】通称「25年ルール」と呼ばれるクラシックカー登録制度が存在します。通常、アメリカでは右ハンドル車の輸入を認めておりません。したがって、日本やイギリスで走っているクルマをアメリカで乗ることは出来ないのです。但し、製造から25年が経過していれば、アメリカ国内におけるクラシックカーとして認められるため、右ハンドル車であっても輸入できるようになるのです。更に関税や排ガス規制までも対象外となりますので、一石三鳥という訳です。アメリカ合衆国運輸省が、初年度登録から25年以上経過したクルマであれば、右ハンドル車の走行を法律で禁止しているにもかかわらず、輸入することを認めるという特別ルール、それが「25年ルール」なのです。
歴史を遡ると、1970年代以降のアメリカでは、たくさんの日本車が売られていました。よって日本車をアメリカで購入することは比較的簡単に出来たのです。また、いわゆるUSDMと呼ばれる日本車をカスタムする文化は昔からありました。しかし、近年アメリカの若者の間でJDMと呼ばれる右ハンドル車が人気を集めています。JDMとは、直訳すると「日本の国内市場」という意味となりますが、実際にはアメリカに入ってきた右ハンドルの日本車のことを指しています。これが「25年ルール」によるアメリカ側の背景であり、名車が日本から流出している原因なのです。
もちろん、ただ右ハンドルの日本車に乗っても大したメリットはありませんので、「25年ルール」ではアメリカでは手に入らない日本のスポーツカーに人気が集まっていることは言うまでもありません。そして、そこにはゲーム「グランツーリスモ」や人気カーアクション映画「ワイルド・スピード」が大きく影響しています。ワイルド・スピードシリーズの顔でもあった今は亡き俳優のポール・ウォーカーが、スカイラインGT-Rとスープラを所有していたことはあまりにも有名な話しであり、当時「ワイルドスピード」を見ていた世代の間では今なお語り草となっているのです。
ここから先『名車の流出とアメリカ側の背景とは?』『名車の流出を招いた日本側の背景とは?』『アメリカに輸入されなかった日本のスポーツカーが人気?』『20年前の日本車ブーム再来!? 』と続きますが…それはまた別の機会に。参照[ベストカ―Web 2021/03/05]
このように20年近く前の、日本車改造ブームを懐かしむ中高年、またはそうした逸話に憧れる若者が、近年の25年ルール車のユーザーになっているのだそうです。需要の高まり、また株式市場の高値による個人資産の拡大などもあり、やや過熱気味となっている今回のブームに対して、Mくんは「それでも、車は車ですからね。」確かに「乗りたい。」という気持ちは、不易流行であると実感しました。
プロ教師:山本一人