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「学び直し」の高校生へ――社会人基礎力を育てる個別支援

高校を卒業しても、もう一度学びたい、進路をやり直したいと考える若者は少なくありません。浪人生活や再受験、通信制高校での学び直しなど、その形はさまざまです。しかし、いざやってみると、学習習慣の再構築やモチベーション維持、将来像の描き方でつまずく人も多いのが現実です。本稿では、学び直しを選んだ高校生・既卒生が「社会人基礎力」を身につけながら前進するための、個別支援のあり方を考えます。
現状と課題――学び直しの壁
学び直しを決意した生徒に共通するのは、「やる気はあるが、勉強の進め方が分からない」という悩みです。高校時代に苦手だった科目や学習習慣の欠如が、そのまま再挑戦の壁となります。また、大学や専門学校進学を目指す場合、学力だけでなく、面接や志望理由書作成など、自己表現力も問われます。さらに、浪人生活や通信制の学びは孤独になりやすく、精神的な支えが不足すると途中で離脱してしまう危険もあります。
社会人基礎力の不足がもたらす影響
経済産業省が提唱する「社会人基礎力」には、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力の3つが含まれます。学び直しの過程でこれらが不足していると、進路決定やその後の職業生活に不安を抱えることになります。単に試験に合格するだけでなく、こうした力を意識的に養うことが、将来の安定や活躍につながります。
個別支援でできること――学習と生活の再構築
個別指導だからこそできるのは、生徒一人ひとりの状況に合わせた学習計画と生活リズムのセット構築です。まずは生活習慣の安定を優先し、毎日の起床・就寝時間や学習開始時間を固定します。次に、短期目標(例:1週間で過去問1年分を解く)と長期目標(例:模試で偏差値5アップ)を設定し、達成度を毎回フィードバックします。この過程で「計画→実行→振り返り→改善」のサイクルを習慣化できれば、それ自体が社会人基礎力のトレーニングになります。
心理的サポートの重要性
学び直しでは、学力面だけでなく精神的な支えが不可欠です。「頑張りを認めてもらえる場」があることで、自己肯定感が高まり、次の挑戦への意欲が湧きます。指導者は、小さな達成でも必ず言葉にして褒め、本人に自分の成長を実感させる工夫が必要です。
社会人基礎力を養う学び直しの実践例
支援項目 | 具体的取り組み例 | 養われる力 |
---|---|---|
短期・長期目標設定 | 1週間の課題と3か月後の模試目標を同時設定 | 前に踏み出す力 |
振り返り面談 | 毎回の授業後に3分間の進捗確認 | 考え抜く力 |
共同学習 | 同じ目標を持つ生徒と月1回の合同学習会 | チームで働く力 |
まとめ
学び直しは、単なる受験や資格取得のためだけでなく、自分自身の生き方や働き方を見つめ直す絶好の機会です。計画性や実行力、協働力といった社会人基礎力を同時に育てることで、再挑戦の成果はその後の人生でも活きてきます。保護者の方も、日々の努力や変化を温かく見守り、時には一緒に小さな達成を喜ぶことで、子どもの挑戦を長く支えることができます。
参照リンク
- 経済産業省「社会人基礎力」(掲載日不明、2025年8月16日アクセス)
- 親子で育む自発的な学び(2025年3月5日掲載、2025年8月16日アクセス)
- 教育のデジタル化のメリット、デメリット、賢い利用法(2025年4月11日掲載、2025年8月16日アクセス)