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2025全国学力テスト・山形の課題を“家で”解決する:理科・国語の伸ばし方

春の学力テストは、教室だけでなく、家庭学習の質にも光を当てます。今年の山形は、小6の算数と国語で全国を少し下回り、理科はおおむね健闘。中3は数学に課題が残りました。では、塾の有無にかかわらず、家でどんな工夫を足せば次の一歩につながるのか。今日からできる方法を、根拠とコツをそえて整理します。
まずは“現状把握”を家庭に持ち帰る
結果の読み取り方を知ると、家庭の学習計画が立てやすくなります。山形県の公表では、小6は算数 55(全国 58.0)、国語 65(全国 66.8)と小幅な差。一方で理科 58(全国 57.1)は上回りました。中3は数学 45(全国 48.3)が課題、国語は全国並み、理科はIRT スコアでは全国平均と同程度〜やや上の水準でした。数字を“弱点の地図”に変え、単元をしぼって対策しましょう。
理科は「見て→書いて→比べる」を15分で回す
理科の伸びしろは、観察と言語化の短い回転で育ちます。安全に観察できる現象をひとつ選びます(例:蒸発、凝結、光と影、植物の葉脈)。
① スマホで前→途中→後を各1枚撮り、計3枚そろえる。
② ノートに写真ごとに気づき3行を書く(〈〜すると〉〈だから〉〈しかし〉の語を入れる)。
③ 三つの気づきを矢印でつなぎ、変化の流れを一文でまとめる。
④ 教科書や公開問題の図を見て、観察に合う教科書用語を1語だけ当てはめる(日常語 → 用語に置き換える)。
置き換え例:
・「水がだんだん見えなくなった」→ 蒸発
・「コップの外に水滴がついた」→ 凝結
・「影が長くなった」→ 太陽の高さが低い(入射角の変化)
・「葉の筋がよく見える」→ 葉脈
実験道具がなくても大丈夫。家にあるものを使い、条件を1つだけ変える練習をします(氷の大きさ、光の当て方、紙コップの材質など)。変えた条件と結果を1行ずつ記録し、因果のことば(〜すると、だから、しかし)を添えると、記述の骨組みが整います。週2回の短い観察ログでも、2週間で変化が見えてきます。
国語は「根拠の再現性」と「音読の質」をつくる
国語の得点は、段落の区切りよりも根拠をすばやく再現できるかで決まります。そこで、見た目の線引きではなく、段落番号+要旨メモ+接続語マーキングに切り替えましょう。
① 段落の左に①②③…と番号を振る。
② 各段落の余白に要旨を10〜15字で一行メモ(例:〈主張〉〈根拠〉〈反論〉〈結論〉)。
③ 設問に関係しそうな段落だけ、指示語に○、逆接・対比に△、因果に→を付す。
④ 記述は設問語+本文語句2つを骨組みにして一文でまとめる。
音読ルーティン:90 秒で精度を上げる
音読は「速さ」ではなく意味の区切りを体で覚える訓練です。① むずかしい語に印を付けて読み方や意味を確認。② 句点で一拍、接続語はやや強くして90 秒音読。③ 読み終えたらすぐ段落の要旨を10〜15字で一行メモ。この3点だけで、設問の根拠が探しやすくなります。
録音チェックの観点は三つです。誤読語がないか、指示語が指す内容を直後に言い換えられるか、長い一文の呼吸(読点前で軽く間を置く)が保てたか。ここを直すと、記述の引用語句も正確になり、要約の質も安定します。
音読はいつやる?の答えは「家庭学習の最初の3分」です。最初に声を出すことで集中が入り、続く根拠マーキングと要約が滑らかになります。朝学習や通学前でも続けやすく、保護者の方は「聞き役」になるだけで十分です。
“15分メニュー”早見表(理科・国語)
メニュー | やり方 | ポイント | 時間 |
---|---|---|---|
理科:観察ログ | 写真3枚→気づき3行→用語1語 | 条件は1つだけ変える | 各5 分 |
理科:図の読み替え | 公開問題の図→自作の言葉で説明 | 矢印と言葉で因果を示す | 15 分 |
国語:根拠マーキング | 段落番号+要旨メモ+○△→ | 設問語と同じ語を探す | 10 分 |
国語:音読→要旨→要約 | 90秒音読→要旨一行→30秒要約 | 句点で一拍・誤読ゼロ | 10 分 |
共通:語彙ミニカード | 理科用語・国語語彙を各3語 | 翌日も同じ3語を再確認 | 5 分 |
つまずきを可視化し、続けるしかけを作る
家庭学習は「続ける仕掛け」で決まります。週2回×4週間を一区切りにし、理科の観察ログは写真フォルダ、国語は録音ファイルや要旨メモで見える化。できた記録は、学校や塾の先生に見せてフィードバックをもらいましょう。第三者の目が入ると、学びの質が一段上がります。
加えて、山形の傾向に合わせて「数学の読み取り」も国語で補強を。グラフや表の「何を比べて、何がちがうか」を言葉に直すと、理科と数学の説明問題に効きます。家では「図を見て一文」を合言葉に、短く、くり返す。やることは少なく、頻度は高くが合格の設計図です。
まとめ:家の15分が、教室の45分を変える
テスト結果は、弱点のレッテルではなく、学びの地図です。理科は観察と言語化、国語は根拠の再現性と音読・要約の反復。道具も特別な環境もいりません。今日から家の15分を積み木のように積んでいけば、次の定期テストや来春の学力テストで、必ず変化が見えてきます。保護者の方は、やり方の固定化をふせぐ声かけと、週1回のチェックをお願いします。
参照リンク
・山形県「令和7年度全国学力・学習状況調査 結果について」(PDF)アクセス日:2025-08-27 https://www300.pref.yamagata.jp/documents/47849/r7gakuryokukekka.pdf
・文部科学省「令和7年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)」アクセス日:2025-08-27 https://www.mext.go.jp/content/20250731-mxt_chousa02-000044035-01.pdf
・国立教育政策研究所「令和7年度 調査問題・正答例・解説資料」(年度ページ)アクセス日:2025-08-27 https://www.nier.go.jp/25chousa/25chousa.htm
・文部科学省「令和7年度 全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について(公表スケジュール)」アクセス日:2025-08-27 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/sonota/1419141_00007.htm
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担当:プロ教師 近江直樹