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2025年度全国学力テスト結果公表―低学力層の地域差が浮き彫りに

文部科学省は2025年9月30日、今年4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の都道府県別・政令指定都市別の結果を公表しました。小学6年生と中学3年生を対象に、国語、算数・数学、理科について実施された今回の調査では、低学力層の割合に顕著な地域差があることが明らかになりました。保護者の皆様にとって、お子さんの学力をどう育てていくかを考える上で、この結果は重要な示唆を与えてくれます。
今回の調査で明らかになったこと
2025年度の全国学力テストは、全国の小学6年生と中学3年生を対象に実施されました。特筆すべきは、中学校理科でCBT(コンピュータ使用型調査)形式が導入された点です。これにより、より詳細な学力の分析が可能になりました。
今回の結果で最も注目すべきは、正答数に応じて学力層を4つに分類した際、最も正答数が少ない低学力層の割合が、特に中学校で地域により大きく異なっていた点です。中学数学では低学力層が全国平均で24%でしたが、都道府県別では19%から36%まで幅がありました。また、中学理科の低学力層(バンド1)は全国平均4.2%に対し、秋田県が1.8%と最少、沖縄県が6.7%、政令指定都市では堺市が9.2%と最多でした。
上位県に共通する特徴とは
全国学力テストで常に上位に位置するのは、石川県、秋田県、福井県です。これらの県は、小学校・中学校ともに安定して高い正答率を維持しています。2024年度の結果でも、中学国語・数学で石川県が1位、秋田県・福井県が上位に名を連ねました。
これらの上位県に共通するのは、家庭の社会経済的背景が低くても学力が高いという点です。今回の調査では「家にある本の冊数」を指標とした家庭の社会経済的背景(SES)と学力の関係が分析されましたが、東京、石川、福井、富山、秋田、大分の各都県では、本の冊数が少なくても比較的高い正答率を維持していました。これは、学校教育の質の高さや地域全体での教育支援体制が充実していることを示しています。
上位県の教育施策の特徴
秋田県は「少人数学級編制」や「習熟度別指導」を積極的に導入し、きめ細かな指導を実現しています。福井県は「家庭学習の習慣化」に力を入れ、学校と家庭が連携した教育を推進。石川県は「教員の指導力向上」のための研修制度を充実させています。これらの取り組みが、継続的な高水準の学力維持につながっていると考えられます。
山形県の状況と今後の課題
山形県は、全国学力テストにおいて全国平均並みか、やや上位の成績を維持しています。特に私立中学進学率が全国で最も低い(1.44%、2022年データ)にもかかわらず、公立中学校で一定の学力水準を保っていることは注目に値します。これは、公立学校教育の質が高く維持されていることの証左といえるでしょう。
山形県教育委員会は令和6年度の結果について独自の分析を公表していますが、今後さらに重要になるのは、低学力層への支援をいかに充実させるかです。全国的に見て低学力層の割合に大きな地域差がある中、山形県としても個々の児童生徒の学力状況に応じたきめ細かな指導が求められています。
家庭でできる学力向上のポイント
今回の調査で明らかになった「家にある本の冊数」と学力の相関は、家庭環境の重要性を示しています。ただし、上位県の例が示すように、経済的背景が学力を決定づけるわけではありません。保護者ができることとして、以下のような取り組みが効果的です。
規則正しい生活習慣の確立:早寝早起き、朝食摂取など基本的な生活リズムが学力の基盤となります。家庭学習の習慣化:毎日決まった時間に勉強する習慣を小学生のうちから身につけましょう。読書習慣の育成:図書館の活用など、お金をかけなくても読書環境は整えられます。学校との連携:お子さんの学習状況を把握し、必要に応じて学校や塾と連携することが大切です。
データから見えるこれからの教育
全国学力テストの結果は、単なる順位競争ではありません。低学力層をいかに減らし、すべての子どもに基礎学力を保障するかという視点が重要です。今回明らかになった地域差は、教育施策の違いが子どもたちの学力に大きく影響することを示しています。
山形県は、少子化が進む中でも質の高い教育を維持するため、少人数学級や個別指導の充実に取り組んでいます。また、CBT形式の導入により、今後はより詳細な学力分析が可能になり、一人ひとりに合わせた指導が実現できるでしょう。保護者の皆様も、お子さんの学力状況を正しく把握し、必要な支援を適切なタイミングで受けられるよう、情報収集と行動が大切です。
全国学力テストの結果を「うちの県は何位だった」という視点だけで見るのではなく、お子さん一人ひとりの学びをどう支えるかという観点で活用していきましょう。学力は一朝一夕には身につきませんが、日々の積み重ねが確実に成果となって表れます。
📚 参考リンク
- 令和7年度全国学力・学習状況調査の報告書・集計結果について – 文部科学省 (アクセス日:2025-10-02)
- 「令和6年度 全国学力・学習状況調査」結果について – 山形県 (アクセス日:2025-10-02)
- 【全国学力テスト】低学力層の割合に顕著な地域差…都道府県別の結果公表 – リセマム (アクセス日:2025-10-02)
- 【KATEKYO学院山形】2025全国学力テスト・山形の課題を”家で”解決する:理科・国語の伸ばし方 – KATEKYOトピック (アクセス日:2025-10-02)
※リンク先は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
◎『KATEKYO学院・山形県家庭教師協会』では、全国学力テストの結果を踏まえた個別指導を行っております。お子さん一人ひとりの学力状況を詳細に分析し、苦手分野の克服から応用力の育成まで、きめ細かくサポートいたします。無料の学習相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
担当:プロ教師 近江直樹