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【最新教育ニュース】「自分の言葉で説明できない」子どもたち。最新の学力調査から考える、家庭での対話術と保護者のメンタルケア
「学校であったこと、ちゃんと話してくれない」「記述問題になると途端に手が止まってしまう」――お子様のそんな姿を見て、「うちの子は国語力が足りないのでは?」と不安になることはありませんか。特に山形県では、塾や部活動への車での送迎時間が長く、密室で親子が2人きりになる機会が多い分、無言の時間が続くと余計に焦りを感じてしまう保護者の方も少なくないでしょう。
実は今、全国的にも子どもたちの「言葉にして伝える力」が大きな教育課題となっています。今回は、最新の学力調査のデータをもとに、家庭でできる「表現力・論理的思考力」の育て方と、保護者の方が肩の力を抜いて子どもと向き合うためのヒントをお伝えします。
なぜ「うまく説明できない」のか?最新調査から見える日本の課題
文部科学省が公表した「令和6年度全国学力・学習状況調査」の結果概要を見ると、国語において「事実と感想、意見との区別が明確でないなど、自分の考えを伝えるための書き表し方の工夫に課題が見られた」と報告されています。また、15歳を対象とした国際的な学習到達度調査(PISA2022)においても、日本の読解力の平均得点はOECD加盟国中2位と非常に高い水準でしたが、記述問題において「根拠を示して自分の考えを説明すること」に依然として課題があることが浮き彫りになりました。つまり、文章を読むことはできても、それを自分の中で消化し、他者に分かりやすく伝えるプロセスでつまずく子どもが多いのです。
なぜ子どもたちは「説明」を苦手とするのでしょうか。脳科学や学習心理の観点から見ると、自分の考えを言葉にするためには、「ワーキングメモリ(脳のメモ帳のような一時的な記憶領域)」をフル活用する必要があります。相手の質問を理解し、自分の記憶から必要な情報を引き出し、順序立てて音声化するという複雑な処理を同時に行わなければなりません。特に思春期の子どもは、感情のコントロールや論理的思考を司る脳の前頭葉が発達の途中段階にあるため、うまく言葉が出てこないのは脳の構造上、ある程度自然なことなのです。
日常の「ゆるい対話」が論理的思考を育む
この表現力を鍛えるために有効なのが、ご家庭での日常的な対話です。机に向かって「なぜそう思ったの?」と面接のように問い詰めるのではなく、リラックスした状態で言葉のキャッチボールをすることが重要です。
心理学的に見ても、子どもは「自分の話を否定されずに聞いてもらえる」という心理的安全性(安心して自分をさらけ出せる状態)があって初めて、自分の思考を整理し、言葉にする勇気を持つことができます。親が「それは違うでしょ」と先回りして正解を与えたり、話を遮ったりしてしまうと、子どもは思考を停止し、ワーキングメモリを鍛えるチャンスを失ってしまいます。
保護者の方自身も「立派な意見を引き出さなきゃ」というプレッシャーを手放すことが大切です。「うまく話せないのは今が成長期だからだ」と割り切り、「へえ、そうなんだ」と相槌を打つ心の余裕を持つことが、結果的にお子様の表現力を伸ばす一番の近道となります。
今日からできる!車内や食卓での「対話力アップ」3ステップ
- 「クローズド・クエスチョン」から始める: 最初から「今日はどうだった?」と漠然と聞くのではなく、「今日の給食は美味しかった?」「体育は疲れた?」など、まずは「はい・いいえ」で答えられる質問から始めます。答える心理的ハードルを極端に下げることが対話の入り口です。
- 「オウム返し」で思考を深める時間をあげる: 子どもが「疲れた」と答えたら、「そう、疲れたんだね」とそのまま言葉を返します。親が共感して受け止めることで、子どもは「もっと話してもいいんだ」と安心し、自発的に次の言葉を探すための時間(脳内での処理時間)を得ることができます。
- 「5W1H」を一つだけ足す: 会話が温まってきたら、「何が一番疲れたの?(What)」や「誰と一緒にいたの?(Who)」など、情報を補足する質問を一つだけ投げかけます。これに対する返答を繰り返すことで、自然と「理由」や「根拠」を伴った論理的な説明が組み立てられていきます。
まとめ:完璧を求めず、親子の会話を楽しもう
表現力や論理的思考力は、一朝一夕に身につくものではありません。まずは保護者の皆様がリラックスして、日々の何気ない会話を楽しむことが一番の栄養となります。車の中での5分間だけでも構いません。うまく話せなくても焦らず、お子様のペースを見守ってあげてください。KATEKYO学院では、日々の学習指導はもちろん、プロ教師がお子様との対話を通じて「自分の言葉で考える力」を育むサポートも行っておりますので、学習に関するお悩みはいつでもお気軽にご相談ください。
参考資料
国立教育政策研究所:令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会:その他の学習コラムはこちら
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹



