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【2026年度】山形県公立高校・後期選抜の志願倍率に見る志願傾向分析
2月24日、2026年度(令和8年度)山形県公立高校入試における後期(一般)選抜の志願倍率が発表されました。Yahoo!ニュースなど各メディアの報道でも触れられている通り、全日制公立合計の志願倍率は0.68倍となりました。県全体としては落ち着いた数字に見えますが、内訳を見ると特定の学校・学科に人気が集中する二極化の傾向が鮮明になっています。
山形県にお住まいのご家庭では、学習塾の送迎などで夜の車内がお子さんと二人きりになる貴重な時間かと思います。ラジオやスマートフォンのニュースから倍率の話題が流れてきたり、学校の友達との会話で自分の志願先の倍率を知り、いよいよ入試本番への意識を高めている時期でしょう。今回は、ご家庭での具体的な対策法はお休みし、発表された倍率の客観的なデータと、そこから見えてくる近年の志願傾向、そして「これからの高校選びの軸」について詳しく分析します。
高倍率が集中する「探究」と「専門性」
まずは、今回の後期選抜において特に志願倍率が高かった主な学校・学科のデータを見てみましょう。倍率の背景がわかりやすいよう、「募集人数(一般定員)」と「志願者数」の実数も併せて一覧にしました。全体平均が0.68倍であるのに対し、一部の学科では非常に激しい競争となっていることがわかります。
| 学校名 | 学科名 | 募集人数 | 志願者数 | 志願倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 山形東 | 探究科 | 76人 | 169人 | 2.22倍 |
| 寒河江 | 探究コース | 28人 | 48人 | 1.71倍 |
| 山形南 | 理数科 | 35人 | 59人 | 1.69倍 |
| 山形工業 | 情報技術科 | 20人 | 31人 | 1.55倍 |
| 山形商業 | 総合ビジネス科 | 112人 | 163人 | 1.46倍 |
県内で最も高い2.22倍を記録した山形東高校の「探究科」(募集76人に対し169人が志願)を筆頭に、寒河江高校の探究コース、山形南高校の理数科など、学びの目的が明確な学科に人気が集中しています。また、山形工業高校の「情報技術科」や、山形商業高校の「総合ビジネス科」(募集112人に対し163人が志願)など、社会に直結する専門的なスキルや実践的な学びを得られる学科も軒並み高倍率となっています。「なんとなく普通科へ行く」という選択から、「自分の興味関心を深く掘り下げる学科を選ぶ」というシフトが起きていることがはっきりと読み取れます。
「入りやすさ」ではなく「学びの質」を選ぶ受験生たち
今回のデータを俯瞰すると、非常に興味深い事実が浮かび上がってきます。全日制公立合計の志願倍率が0.68倍ということは、全体で見れば「定員に対して志願者が下回っている」状態です。もし子どもたちが「どこでもいいから公立高校に入りたい」「楽をして合格したい」と考えているのであれば、倍率の低い学校や定員割れをしている普通科へと志願が分散するはずです。
しかし現実は違います。定員割れの学校が多数ある一方で、山形東の探究科のように2倍を超える激戦となっている学科が存在します。これはつまり、今の受験生たちが「入りやすさ」で妥協するのではなく、「自分が本当にやりたいことができる環境」であれば、たとえ狭き門であっても果敢に挑戦する道を選んでいるという証左です。この「学びの質」を妥協しない姿勢こそが、今回の志願倍率から読み取れる最も重要なトレンドと言えます。
志願傾向から読み解く、子どもたちの心理と社会の変化
なぜここまで「探究」や「専門性」を冠する学科が選ばれるのでしょうか。学習心理学の観点から見ると、思春期の子どもたちは「やらされる勉強」に対して強い抵抗感を示す一方で、「自分が学んでいることが、社会のリアルな課題や将来の仕事と結びついている」と実感できたときに、最も強い学習意欲(内発的動機づけ)を発揮します。漫然と高校生活を送るよりも、特定の分野をとことん追求できる環境を、いまの受験生は本能的に求めているのかもしれません。
また、文部科学省の高等学校学習指導要領においても「総合的な探究の時間」が非常に重視されており、「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」の育成が推奨されています。子どもたち自身も、日常の授業や進路指導を通じて、ただ暗記するだけでなく、自ら問いを立てて深く学ぶことの重要性を感じ取っています。高倍率の背景には、これからの予測困難な社会を生き抜くための力を身につけたいという、受験生たちの前向きで頼もしい姿があると言えるでしょう。
最後に
倍率は「何人がその扉を叩いたか」を示す客観的な数字に過ぎませんが、その内側には「これからの社会でどう生きていくか」を真剣に考える子どもたちの確かな成長が反映されています。募集人数に対して志願者が多いということは、それだけ「どうしてもこの学校で学びたい」という熱意を持ったライバルが集まっているということです。
厳しい倍率の学科に挑むお子さんは、自ら高いハードルを設定できるだけの強い意志を持っています。ご家庭におかれましては、特別なことをしようと焦らず、ぜひ「いつも通りの温かい見守り」で送り出してあげてください。KATEKYO学院のプロ教師陣も、生徒たちが本番のその瞬間まで最高の精神状態で実力を出し切れるよう、全力で伴走してまいります。春の吉報まであと少し。体調に気をつけながら、最後まで一緒に駆け抜けましょう。
参考資料
Yahoo!ニュース:山形県公立高校 後期選抜倍率の発表に関する報道
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会:その他の学習コラムはこちら
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹



