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全国的な「教師不足」時代。学校環境の変化から子どもの学びを守る家庭学習のポイント
「今日は先生がお休みで、プリント学習ばかりだったよ」「隣のクラスは担任の先生がしばらくお休みなんだって」といったお子様の何気ない言葉に、少し不安を感じたことはありませんか?
現在、全国の学校で深刻な「先生が足りない」という事態が進行しています。学校は子どもたちにとって大切な学びの場ですが、教員の欠員が続けば、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな指導を受ける機会が減ってしまうかもしれません。今回は、こうした学校環境の変化の中で、保護者の皆様がお子様の学びをどのように支えていけばよいのか、教育現場の視点から一緒に考えていきたいと思います。
なぜ今、学校で「先生が足りない」のか?
先日、文部科学省が発表した「令和7年度『教師不足』に関する実態調査」や各種報道によると、全国の公立学校における教員の不足数は3,827人に上ることが明らかになりました。始業の段階で配置されるべき教員数が満たされていない状況が浮き彫りになっており、特に産休や育休、病気でお休みをする先生の代わりとなる「臨時的任用教員(いわゆる臨時講師)」の確保が極めて困難になっているのが主な原因です。本来であれば子どもたちの学習や生活をサポートするはずの担任が配置できず、他の教員が無理をしてカバーしているケースも少なくありません。
学習心理学の観点から見ると、子どもが新しい知識を吸収し、学ぶ意欲を高めるためには、指導者との安定した「愛着関係」や、一人ひとりの理解度に応じた適切なフィードバックが不可欠です。先生が頻繁に変わったり、多忙すぎて個別の声掛けが減ってしまったりすると、子どもは「自分のことを見てくれている」という安心感を得られにくくなります。その結果、知的好奇心が刺激されにくくなり、学習に対するモチベーションの低下や、分からない箇所をそのままにしてしまう「つまずきの連鎖」が起こりやすくなるのです。
学校に依存しすぎない「自己調整学習」の力を育む
このような状況下で重要になるのが、家庭での学習習慣を見直し、子ども自身が主体的に学ぶ力を育てることです。教育の専門用語ではこれを「自己調整学習(自分自身で学習の目標を立て、計画を実行し、その結果を振り返って次の改善につなげていく一連の力)」と呼びます。この力が身についていれば、学校の授業進度が不安定になったり、自習の時間が増えたりしても、大きくペースを崩すことなく学び続けることができます。
なぜ、自己調整学習がこれほどまでに効果的なのでしょうか。それは、人間の脳が「やらされる学習」よりも「自ら目的を持って取り組む学習」において、より高いパフォーマンスを発揮するからです。心理学の分野では、自発的な行動は「内発的動機づけ(自分の内側から湧き上がる興味や関心に基づくやる気)」を高めるとされています。誰かに指示されてドリルを解くのと、「明日の授業で手を挙げるために、このページを理解しよう」と自ら目標を設定して解くのとでは、脳内のドーパミン(意欲や学習に関わる神経伝達物質)の分泌量が大きく異なります。
結果として、記憶の定着や理解の深さに明確な差が生まれます。つまり、教員不足によって学校の授業ペースが変動したとしても、この内発的動機づけに基づいた自己調整学習ができていれば、子どもは自立して学びの歩みを進めることができるのです。保護者の皆様は、直接勉強を教える「先生」になる必要はありません。お子様が自分で学習をコントロールできるように、環境を整える「伴走者」としての役割が求められています。
今日からできる!家庭学習を支える3つのステップ
では、具体的に家庭でどのようなサポートができるでしょうか。今日からすぐに始められる3つの行動ステップをご紹介します。
- 「分からないことリスト」を作るお子様が宿題や家庭学習をしていてつまずいた箇所は、無理にその場で解決しようとせず、専用のノートや付箋に書き留める習慣をつけましょう。「あとで誰かに聞けばいい」と可視化することで、学習の手が止まるストレスを減らすことができます。週末に保護者の方と一緒に調べたり、学校の先生や塾の先生にピンポイントで質問したりするための素晴らしい材料になります。
- 1日10分の「振り返りタイム」を設ける夕食後や寝る前の10分間、その日学校で習ったことや、家庭学習でできたことをお子様に声に出して説明してもらってください。「今日はどんな新しいことを知ったの?」「その公式はどうやって使うの?」と軽く問いかけるだけで十分です。誰かに説明する(アウトプットする)ことで、自分の理解が曖昧な部分に気付くことができ、記憶の定着率は劇的に上がります。
- 学習のペースメーカーとなる第三者を見つける保護者の方だけで学習の進捗を管理するのは、反抗期のお子様などでは感情的な衝突を生むこともあり、難しい場合が多いものです。時には、お子様と相性の良いプロの家庭教師など、学校以外の「信頼できる学習のサポーター」を確保しておくことも有効です。客観的な視点から学習計画を立ててくれる存在は、不安定な学習環境に対する大きなリスク管理となります。
お子様の学びの環境を、家庭から守り育む
学校の先生方は、教員不足という大変厳しい状況の中でも、子どもたちのために日々全力で向き合ってくださっています。しかし、社会全体で起きているこの波からお子様の学習を守るためには、家庭での備えがこれまで以上に重要になってきているのは事実です。だからといって、急に厳しいルールを設けて焦る必要はありません。
まずは「今日できたこと」を認めて、しっかりと褒めることから始めてみてください。保護者の方の温かい見守りと関心が、お子様にとって何よりの原動力になります。もし、ご家庭だけでのサポートに限界や不安を感じられたり、学習習慣の定着でお悩みだったりする際は、いつでも私たちKATEKYO学院にご相談ください。お子様一人ひとりに合わせた最適な学習方法を一緒に見つけていきましょう。
参考資料
Yahoo!ニュース:全国の「教師不足」3827人 臨時講師の確保困難に 文科省調査
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会:その他の学習コラムはこちら
KATEKYO学院・山形県家庭教師協会 プロ教師 近江 直樹



