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筑波大人文系再編が映す高等教育の転換点 ── 中高生はいま、どう学びをデザインするか

2025 年 6 月、
筑波大学の人文系 3 学類統合計画が報じられ、日本の大学再編議論が一段と現実味を帯びました。
背景には、18 歳人口の激減と中央教育審議会答申(2025/2)の「大学規模適正化」があります。
進学者数は 2040 年に 46 万人へ縮小する見込み――その荒波のなかで、人文学の学びは何を失い、何を得るのか。
本コラムでは人文学の再定義と中高生が取るべき学習戦略を提案します。
1. 再編は「人文学不要論」ではない
筑波大内部資料は統合理由に「専門細分化」「理工リテラシー不足」「社会との断絶」を挙げます。
しかし、リベラルアーツの再評価
が世界的に進む今、批判的思考・文脈読解・倫理的洞察
など人文学的スキルはむしろAI 時代の必須能力として脚光を浴びています。
2. 中高生の学習戦略 ― 4 つの視点
(1) 文理融合を当たり前に
STEAM 教育の潮流を踏まえ、数理的手法で歴史を読み解く・
哲学的視点でテクノロジーを評価する――文理の越境は探究学習の核心です。
(2) 探究学習に人文学的アプローチを
2024 年調査では探究で身につく力の筆頭が「主体性」。
歴史的文脈・倫理・多角的視野を取り入れることで、
課題発見→批判的検証→価値創造のプロセスが深化します。
(3) 人文学×テックの新キャリアを探る
UX デザイン、AI 倫理、デジタルアーカイブなど
新領域は拡大中。
専門を掛け合わせることで「文学+プログラミング」、
「哲学+データサイエンス」といった武器が生まれます。
(4) 副専攻・海外経験をフル活用
大学選びではダブルメジャー・海外連携など柔軟なカリキュラムに注目。
学内外で多様なバックグラウンドと交わる経験が、
人文学的学びを社会実装へと接続します。
3. 今日からできる実践アイデア
- 多ジャンル読書+要約→AI 添削→再編集で批判的読解を磨く
- ディベート/模擬国連で論点整理と表現力を鍛える
- 地域課題フィールドワークを探究テーマ化し、文理双方の視点で分析
- オンライン国際交流で多文化比較とメタ認知を獲得
4. AI 時代における人文学の再価値化
文科省報告書も指摘する通り、人文学は「社会を読み解き未来を構想するインフラ」です。
大学組織が変わっても、人文学的思考=問いを立てる力・文脈を編む力は失われません。
大学再編は「危機」ではなく「学びを再設計するチャンス」です。
文理の垣根を越え、実社会につながる探究を重ね、
AI 時代にこそ際立つ人間らしい創造力を育みましょう。
【引用資料】
・毎日新聞「筑波大 人文系統合方針」
記事リンク
・中央教育審議会答申(2025/2)
PDF
・文科省 人文社会科学系の役割に関する報告書
報告リンク
※掲載リンクには有効期限がある場合があります。最新情報は公的発表をご確認ください。
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