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速読力の副次的効果 ― 記憶力と読解力の向上

以前も速読について取り上げましたが(参照:変化する大学入試と求められる「速読力」)、今回では速読がもたらす学習効果を具体的に解説します。速読トレーニングは、試験時の情報処理を高速化するだけではありません。記憶力や読解力など学習の基盤となる能力を底上げする副次的効果があることが、近年の研究でも確認されています。
記憶力の向上
速読習慣が記憶力を伸ばす理由は、脳科学的にも次のとおり説明できます。
- ● 情報の集中処理効果 … 短時間で文章を把握するため脳が高い集中状態を維持し、記憶定着率が向上。
- ● イメージ化の促進 … 文章を視覚的に捉える習慣が身につき、内容を映像として記憶しやすくなる。
- ● 関連付け記憶の強化 … 文脈把握が必須となるため、既有知識との関連付けが活発化。
- ● ワーキングメモリの拡大 … 継続的なトレーニングで一度に処理できる情報量が増え、短期記憶容量が拡大。
読解力の深化
速読と読解は相反するようでいて、実際には相互補完的です。
- ● 文章構造の把握力 … 全体構造を素早く見抜く力が養われ、論旨理解が容易に。
- ● 要点抽出能力 … 重要情報の瞬時判別が可能となり、核心を逃さない。
- ● 論理展開の予測力 … 多彩な文章に触れることで、論理パターンを先読みしながら読める。
- ● 批判的読解 … 情報処理速度が上がる分、批判的に吟味する余裕が生まれ、理解が深化。
学習全般への好影響
- ● 学習効率の最大化 … 同じ時間でより多くの内容を学べ、復習や応用に時間を回せる。
- ● 自己効力感の向上 … 成果を実感しやすく、学習への自信が高まる。
- ● 広範な知識獲得 … 速読で多様な文献に触れ、教科横断的な視野を獲得。
- ● 思考の柔軟性 … 異分野の知識を短時間で吸収し、多角的な思考が育つ。
日常生活での実践方法
速読効果を最大化するため、以下の習慣を取り入れてみましょう。
- 朝の新聞をタイムトライアル形式で読み、後で要点を思い出す。
- 複数ジャンルの書籍を速読 → 要約 → 復習のサイクルで読む。
- 教科書予習に速読を活用し、授業理解度を比較する。
速読は単なるテクニックではなく、脳の情報処理能力を総合的に高めるトレーニングです。受験対策はもちろん、生涯にわたり役立つ学習スキルとして、ぜひ前向きに取り組んでみてください。
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担当)プロ教師 近江直樹
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参照:https://www.pc-sokudoku.co.jp/sp_blog/kyodaikenkyu.html
https://www.nature.com/articles/ncomms2488
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2024.1394579/full
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