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教員の勤務時間が国際最長に―家庭も知っておきたい「現場の実態」と自治体の動き

日本の教員は、世界の中でも非常に長い時間働いている――。OECD(経済協力開発機構)の最新調査で、日本の小中学校の教員は週50時間を超える勤務が続き、加盟国の中で最長水準であることが示されました。授業以外の業務が多く、現場の負担は依然として大きい状況です。この記事では、最新データの要点とあわせて、山形市で進む取り組みを整理します。

最新の実態:国際調査で見えた“高負荷”の構図

OECDの国際教員指導環境調査(TALIS 2024/25 概要)では、小学校で約54時間、中学校で約56時間/週と報告。授業に費やす時間は他国と大差ない一方で、部活動・事務作業・学校運営業務など授業外の比重が極めて大きいことが長時間化の背景にあります。文部科学省の勤務実態調査でも、在校時間は小学校52時間台・中学校57時間台に達しています。

何が長時間化を生むのか:背景と要因

勤務時間を押し上げている主因は、授業以外の業務が多すぎることにあります。とくに次の3点が大きく影響します。

  • 部活動の指導時間:休日を含む長時間の引率・指導。
  • 事務・会議・報告書作成:行事運営、統計・報告、各種調整が集中。
  • 保護者対応・地域連携:面談・連絡が時間外に及ぶケース。

結果として「授業準備」や「個別支援」の時間が後回しになり、教育の質の低下や人材確保の難しさにもつながります。

政府・自治体の対応:制度はどこまで進んだか

国は「改正給特法」により時間外45時間/月の上限目標を示し、教員業務支援員や部活動指導員の拡充を打ち出しています。併せて、校務DX(校務のデジタル化)や保護者連絡の標準化も推進。もっとも、実装の度合いは地域差が大きく、体制整備と人材確保の両面で継続課題が残ります。

山形市の取り組み:具体策と進捗

① 部活動の地域移行を推進:山形市は令和6年度、文化スポーツ部内に「部活動地域移行連携室」を設置。教育委員会と連携し、モデル事業の拡充・受け皿団体の整備・指導者確保・費用支援を同時並行で進めています。文化部・運動部の双方で検証し、顧問の負担軽減と活動の地域化を段階的に進める方針です。

② 学校のデジタル支援体制の拡充:山形市発展計画では、ICT支援員の配置を「17校に1名」から「4校に1名」へと大幅に強化する目標を掲げ、授業準備や端末運用・校務のデジタル化を専門人材で後押しします。これにより、教材準備・機器トラブル対応などの“授業外負担”の縮減が期待されます。

③ 特別支援の相談・支援体制の強化:市の推進計画では、特別支援教育相談員の配置拡充有資格者(臨床心理士・公認心理師等)の配置など、校内外の支援リソースを増やす方針が示されています。専門職の活用は教員の個別対応負担を軽減し、指導時間の確保につながります。

まとめ:教員の時間を取り戻すことは、子どもの時間を取り戻すこと

山形市では、部活動の地域移行・ICT支援員の拡充・専門家の配置といった具体策が動き出しています。これらは、授業以外の負担を外部化・分担し、「授業に集中できる時間」を確保するための正面施策です。制度・人材・デジタルの3本柱を着実に進め、教員の長時間労働を減らすことが、地域の学びの質を底上げします。


📚 参考リンク

※リンク先は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


◎『KATEKYO学院・山形県家庭教師協会』では、地域の最新施策に合わせた学習環境づくりを支援。学校と家庭の負担を減らし、子どもの学びに集中できる段取りをご提案します。

担当:プロ教師 近江直樹

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